814 名前: 癒されたい名無しさん 04/09/28 06:55:00 ID:1XnXB//a
 
漏れの実家は広島にある。家は結構大きいほうで、
なんとか自慢できるくらいの庭もあった。
うちをここまでにしたのはばあちゃんとじいちゃんのおかげだ。
戦後すぐに海軍から帰ってきたじいちゃんは、
ばあちゃんと二人で会社を始めた。

その会社を二人で一生懸命大きくして、
やっとじいちゃんも親父に跡を譲った頃、ばあちゃんが死んだ。
心臓病で半年ぐらい入院してからの大往生だったよ。でね。

その死んだばあちゃんは大の猫好きで、捨て猫を見ては拾ってきて、
俺が物心つく頃には家には5匹くらいの猫がいた。
そのうちの一匹に「ミーコ」ってメスの三毛猫がいたんだ。
そいつはばあちゃんと同じぐらい年行ってて、
うちの猫の中でも威厳を保ってたかっこいい猫だった。

そいつはいつもばあちゃんの背中に乗っかって、
散歩する時もいつも一緒だった。
はたから見ればその姿は「妖怪かよ!」
と思われても不思議じゃなかったと思うね。

でも、ばあちゃんが死んでからその猫の居場所はなくなっちまった。
いつも乗っかってたばあちゃんのあの背中がなくなってから、
ミーコは毎日縁側でぼーっと庭を見てた。
ばあちゃんが大好きだった庭を見ながら、毎日そうしてたんだわ。
俺ら家族はミーコの元気が出るように、
話しかけたり撫でてやったりするようにしてた。
でも、ある日親父が縁側でぐったりなってるミーコを見つけたんだわ。
びっくりして病院に連れて行ったら、老衰でかなり弱ってます、って。

そりゃもう二十数年生きてきたような化け猫だったから、
仕方ないとは思ったよ。家に連れて帰ってから、
みんなで介抱してあげた。
そうしたらある日、じいちゃんがミーコの様子を見に来たんだ。
するとミーコのやつは、思い出したように
じいちゃんの背中に登ろうとするんだ。

もう動く力もないだろうとおもってたのに。
一生懸命爪立てて、必死で登ろうとするんだよ。
そしたらじいちゃんはガリガリになったミーコの体をそっと背中に乗せて、
「庭を散歩してくる」って。

その夜にミーコは死んじまった。最後に庭が見れて幸せだったろうって、
親父は言ってたよ。

で、うちの主みたいな猫だったんだ、
通夜ぐらいはしてやろうってなったわけ。
んで家族一同集まって、ミーコの写真をばあちゃんの仏壇の横に飾って、
ささやかな通夜を上げたんです。
人も猫もおらんようになって、さみしゅうなるのーって酒飲んでた。
そしたら、うちでミーコの次に年配のミルキーって猫が、
じいちゃんの背中にちょこんと座ったんだ。
じいちゃん号泣。漏れも泣いちまったよ。何だよお前ら、
猫のくせに人慰めてんじゃねーよ、って。

それ以来その猫はじいちゃんの背中が居場所になってる。
でももし、じいちゃんが死んだ時、
ミーコみたいに居場所がなくなるのはかわいそうだから、
そん時は俺が背中を貸してやろうと思ってるよ。

でもじいちゃんにも猫にも、いつまでも元気でいてほしい。
実家に帰ったら目いっぱい酒飲もうな、じいちゃん。

マジ駄文スマソ。

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