メモ

2004年12月8日 メモ
203 名前:癒されたい名無しさん[] 投稿日:04/11/21 21:51:33 ID:hCJPqqua
小学生のとき、少し知恵遅れのA君がいた。
足し算、引き算の計算や、会話のテンポが少し遅い。でも、絵が上手な子だった。
彼は、よく空の絵を描いた。抜けるような色遣いには、子供心に驚嘆した。

担任のN先生は算数の時間、解けないと分かっているのに答えをその子に聞く。
冷や汗をかきながら、指を使って、ええと・ええと・と答えを出そうとする姿を
周りの子供は笑う。N先生は答えが出るまで、しつこく何度も言わせた。
私はN先生が大嫌いだった。

クラスもいつしか代わり、私たちが小学6年生になる前、N先生は違う学校へ転任することに
なったので、全校集会で先生のお別れ会をやることになった。生徒代表で
お別れの言葉を言う人が必要になった。先生に一番世話をやかせたのだから、
A君が言え、と言い出したお馬鹿さんがいた。お別れ会で一人立たされて、どもる姿を
期待したのだ。
私は、A君の言葉を忘れない。
「ぼくを、普通の子と一緒に勉強させてくれて、ありがとうございました」
A君の感謝の言葉は10分以上にも及ぶ。水彩絵の具の色の使い方を教えて
くれたこと。放課後つきっきりでそろばんを勉強させてくれたこと。
その間、おしゃべりをする子供はいませんでした。N先生がぶるぶる震えながら、
嗚咽をくいしばる声が、体育館に響いただけでした。

昨日、デパートのポストカードなどに美しい水彩画と、A君のサインを発見いたしました。
N先生は今、僻地で小学校で校長先生をしております。

204 名前:癒されたい名無しさん[sage] 投稿日:04/11/21 23:28:25 ID:iGBe2rC3
>>203
泣いた
自分の兄妹に自閉症いるから
どう接するのが本人のためかってよく考える
N先生の思いは ちゃんとA君に伝わってたんだね

208 名前:癒されたい名無しさん[sage] 投稿日:04/11/22 15:43:38 ID:9BDf3ibf
>>207
僻地っていう響きには、懲罰的な雰囲気があるし、
算数の問題が解けないと分かっててしつこく聞くんだから、
先生がいじめてたのは間違いないと思います。
A君は何もわかってないから感謝できる、という部分は不確定だけど、
知恵遅れと書かれてるし、A君はいじめを認識できてなかったのかもしれない。
自閉症の人の心は、秩序のみから成っているような浮世離れした美しさがあることがあって、
天使のようだと言われることがある。(そして容姿も美しかったりする)
イワンのバカとか常不軽菩薩とか、そういう系の話なんじゃないかと。

210 名前:203[] 投稿日:04/11/22 20:05:39 ID:4gCUqqdr
蛇足かもしれませんが補足。

先生は教員が少なく、子供達が家から2時間ほどかけて登校しなければならないような
過疎地へ自ら望んで赴任されました。

N先生のお家には、毎年夏にA君から絵が届くそうです。A君はその後公立中高を経て、
美大に進学しました。お別れ会でのN先生の挨拶が思い浮かびます。
「A君の絵は、ユトリロの絵に似ているんですよ。みんなはもしかしたら、
見たこと無いかもしれない。ユトリロっていう、フランスの人でね、街や
風景をたくさん描いた人なんだけど。空が、綺麗なんだよ。
A君は、その才能の代わりに、他の持ち物がみんなと比べて少ない。
だけど、決して取り戻せない物ではないのです。そして、A君は
それを一生懸命自分のものにしようしています。これは、簡単なことじゃありません!」

A君は、空を描いた絵を送るそうです。その空はN先生が作り方を教えた、
美しいエメラルドグリーンだそうです。

コメント